Hola! メキシコ日系進出通信

第14回 米国との繋がりの強さ

既にこれまでの記事でも何度か触れていますが、メキシコにとって米国は、金額ベースでの貿易構成比率のうち、輸出約80%、輸入約50%を占める圧倒的な最主要貿易相手国です。加えて、実はあまり知られていない事実ですが、米国にとってもメキシコが2019年1~6月期(上期)で、輸出と輸入を合わせた貿易総額で最大の相手国です。これまで米国にとって最大の貿易相手国であった中国が、米中貿易戦争の影響で縮小したことも理由のひとつですが、そもそも首位だった中国と、メキシコ、カナダの3カ国の対米貿易の金額は肉薄しています。

ただし、上述の3カ国でも自国の貿易構成比率のうち、米国の占める割合が大きく異なります。中国は15%ほどしかないのに対して、メキシコ、カナダはそれぞれ約62%を占めます。背景としては、NAFTA(北米自由貿易協定)、USMCA(アメリカ・メキシコ・カナダ協定)や、陸続きであることなどに起因しますが、世界的に見ても類がないほどに一国に対する比率が高く依存が強いです。

「米国がくしゃみをすると、日本は風邪を引く」という言葉をしばしば耳にしますが、「米国がくしゃみをすると、メキシコ、カナダは肺炎になる」と言っても決して過言ではありません。この関係性は、島国である日本ではイメージすることが難しいです。

敢えて例を挙げるとすれば、韓国の対中国の経済依存が身近だと考えられますが、それでも韓国の貿易構成比率のうち、中国の占める割合はおよそ22.8%にすぎません。いかに、メキシコ(カナダ)にとって、米国が絶対的な存在であるかということが読み取れます。

ちなみに、日本とタイの対米貿易額は、中国、メキシコ、カナダの3カ国平均の約3分の1で日本が第4位。タイは15分の1ほどです。

またメキシコでは米国法人を親会社として、米国での税務上の恩典を利用する目的からメキシコ現地法人の会社形態に合同会社(Sociedad de Responsabilidad Limitada : S. de R.L.)を採用される場合もあります。可変資本制度(Capital Variable : C.V.)も適用して、可変資本合同会社(Sociedad de Responsabilidad Limitada de Capital Variable : S. de R.L. de C.V.)となります。

日系企業であっても、メキシコ法人の株式を直接保有している親会社が米国法人の場合も多々あり、会社形態の理由だけでなく、実務面でも管理職は米国人などのケースもしばしばあります。

 

次号では、メキシコの運送事情などについて紹介させていただきます。

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