泰日工業大学 ものづくりの教育現場から

第104回 『TNI情報技術学部で何を学ぶか』

タイでのものづくり教育を進める泰日工業大学(TNI)の例をもとに、中核産業人材の採用・育成について検討します。TNI情報技術学部では、現在5学科を学べます。2007年の設立当初は、情報技術学(IT)だけでしたが、2010年にマルティメディア技術学(MT)とビジネス情報技術学(BI)が加わり、特にMTは毎年100人以上の入学生がある人気コースです。また最近では、日本人や各国の学生を含めて英語で学ぶデータサイエンス・解析学(DSA)が加わりました。今回は情報技術学部の概要をお伝えします。筆者:吉原秀男(Yoshihara Hideo)泰日工業大学(TNI)学長顧問

企業の経営効率を高め迅速かつ正確な意思決定とリスク低減の支援ツールとして、情報通信技術(ICT)は大変重要な役割を担っています。ICTは組織の長期的な競争の戦略手段とも言えます。また情報の伝達、広報、商品・サービスのインターネット販売、人材開発、知識管理などにも活用されています。なおDSAは国際プログラムで、英語で実施しています。

○情報技術学(IT)
Information Technology(136単位)
本課程は、コンピュータ・プログラミング、経営とデータベース設計およびコンピュータ・ネットワーク、マルチメディア、コンピュータ・グラフィック、広報、顧客(関係)管理やウェブサイト上サービスなどの分野に情報技術知識を応用することを含む経営のためのデータ処理などをテーマに学生を訓練し、現代企業に必須な能力を提供します。

○マルチメディア技術学(MT)
Multimedia Technology(136単位)
本課程は、ゲーム開発、コンピュータ・グラフィック・デザインやアニメーション、人間とコンピュータの相互作用、デジタル画像処理、マルチメディア技術とデザインなど、さまざまな分野を扱います。MT課程がマルチメディア情報を、設計、分析、プロセス、および管理することが可能な知識とスキルを学生に付与し、ビジネス・製造業に貢献します。

○ビジネス情報技術学(BI)
Business Information Technology (134単位)
本課程では、学生に情報技術、特にビジネス情報技術について、設計、分析、データ処理、管理に焦点を当てた知識とスキルを付与し、企業や工場の課題に対応できるようします。

○広報デジタル技術学(DC)
Digital Technology in Mass Communication(134単位)
本課程は、創造的産業(クリエイティブインダストリーズ)イニシアチブとタイランド 4.0の開発戦略計画に沿って、高度な内容のコミュニケーションとデジタル技術の分野で統合された指導と学習を提供します。加えて、学習と実践に焦点を当てたモノづくりの基本原則は、学生がデジタル作品を分析、設計、制作、評価することを可能にします。また、国際標準として、日本を中心とする専門家から学ぶ機会があります。さらに、学生は絶え間なく変化するデジタル広報産業の基準に合った技術と方法を実践することができます。

〇データサイエンス・解析学(DSA)
Data Science and Analytics (135単位)
本課程は、統計学、コンピュータ科学、ビジネス、データを洞察力に変える視覚化、隠されたパターンを発見し、将来の動向を予測し、企業の競争力を獲得する諸科学と方法を活用します。そしてこれからの世代に必要な知識と能力を身につけ、産業界に変革を起こす技術者を養成します。DSA修了者の役割は、製造業、金融、サービス、医療、さらに農業まで及ぶでしょう。

2021年5月5日掲載

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