タイ版 会計・税務・法務

【第64回】 タイにおける為替差益の取り扱いについて

Q:当社は製造業の会社であり、その生産に必要な原材料の輸入や製品の輸出から、為替損益が頻繁に生じます。タイにおける為替損益の税務上の取扱はどうなっているのでしょうか。

A:タイにおいても日本と原則は相違なく、取引時と決算時の為替レートの差等から発生する為替損益については発生期間における税務上の損益として認識し、法人所得税計算の対象となります。

Q:当社はBOI投資奨励を受けているのですが、BOI投資奨励を受けている会社として為替損益の取扱について留意した方が良い点はあるでしょうか。

A:BOIからの投資奨励を受けている会社は、その奨励区分に応じてBOI投資奨励事業から生じた利益については法人所得税を免除されますが、為替損益についても当該為替損益をBOI投資奨励事業とそれ以外の事業とに、発生源ごとに区分経理する必要があるとされています。

Q:具体的には、どのような為替損益がBOI投資奨励事業から生じた為替差益として認められるのでしょうか。

A:歳入局とBOIの代表者間での協定(1990年7月11日)は、為替差益に関する考え方として、以下のように述べています。

『外国為替の変動から発生した収益(為替差益)は、BOI投資奨励を受けている会社が投資奨励事業からの収益を認識した日付以降に当該為替差益を認識しているならば、投資奨励事業から生じた収益として、法人所得税上の収益から除外される』

以上を鑑みると、この投資奨励事業から生じた収益として認識される為替差益の例としては、以下のようなものが考えられます。

  • BOI投資奨励事業に直接関連する事業活動(例:製品輸出、BOI投資奨励事業で使用する製造機器や原材料の輸入)から発生した為替差益
  • 外貨建てローンから発生した為替差益(当該ローンがBOI投資奨励事業に直接関連するものであることを示す必要あり)
  • BOI投資奨励事業から生じた収益に係る債権から発生した為替差益
  • BOI投資奨励事業から生じたことを明示できない為替差益については、BOI投資奨励事業と投資奨励外事業とに按分する必要がある

 

なお、本文書は一般的な検討を行ったものであり、個別のケースで問題が発生した場合には、多くの場合関連法規の検討や専門家のアドバイスが必要となります。そのため、本文書の著者及び所属先は、本文書の掲載内容に基づいて実施された行為の結果、並びに誤情報及び不備については責任を負いかねますのでご了承ください。

 2014年9月

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