Hola! メキシコ日系進出通信

第13回 メキシコの食文化

今回はメキシコの食文化についてご紹介させていただきます。

・歴史

2013年、「和食」がユネスコの世界無形文化遺産に登録されました。和食について農林水産省では4つの特長をあげています。

  1. 多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重
  2. 健康的な食生活を支える栄養バランス
  3. 自然の美しさや季節の移ろいの表現
  4. 正月などの年中行事との密接な関わり

実は2010年に「メキシコの伝統食文化」もユネスコ世界無形文化遺産に登録されています。数千年前に栄えたアステカ文明やマヤ文明の先住民らの古代料理と、16世紀からのスペイン植民地時代の牛や豚、小麦粉などを食べる新たな文化の融合が、今日のメキシコ伝統食文化と言えます。

また、米国国境沿いの北部乾燥地帯から、日系自動車関連企業様の進出が集中するバヒオ地区と呼ばれる中央高原地帯、グアテマラやベリーズと隣接する南東部地域まで、気候や海からの距離も大きく異なるメキシコでは地域特有の食べ物や食べ方も存在します。

・特色

メキシコの主食はトウモロコシの粉を薄く延ばして焼いた「トルティーヤ」で、メキシコ料理の代名詞である「タコス」は、トルティーヤに肉類、魚介類、内臓料理、野菜などの具を乗せるものを言います。このトルティーヤと具の間にチーズを挟むものを「ケサディージャ」、タコスをチリソースに浸すものを「エンチラーダ」、「ナチョス」はトルティーヤを扇形に切って油で揚げたもので、そこから派生した”ドリトス”は日本でも有名なスナック菓子です。その他にも、トルティーヤにちなんだ料理はたくさんあります。また現代では、小麦粉から作られたトルティーヤもあります。

上述の通り、主食はトルティーヤですが、メキシコではトウモロコシ以外にも、小麦、豆、米、イモ類をそれぞれ加工した食品も日常的に食べられています。トマトやチレ (唐辛子) をベースとしたサルサもまた、同じように日常的に食生活に登場します。

日々飲まれているものがコーラで、消費量は断トツの世界一です。年間消費量は一人あたり約163リットルで、本場アメリカの年間一人あたり約118リットルより40%ほど多いです(当然、タイと日本は、アメリカよりも更に少ない消費量です)。

消費量が世界一の理由としては、綺麗な水が手に入りにくい地域でミネラルウォーターよりも安価で入手できたこと、アメリカや日本は甘味料としてぶどう糖果糖液糖(コーンシロップ)を用いているのに対して、メキシコではサトウキビからとった自然の砂糖を使用しており、本場アメリカでも“MexiCoke(メキシコーク)”と話題で、アメリカ製の3倍以上の値段でも流通するほど美味しいという点が挙げられます。

食のアメリカナイズも進んでおり、サブウェイ、マクドナルド、ケンタッキー・フライド・チキンなどはもちろんのこと、米系チェーン店が日本以上に進出して、日常生活に溶け込んでいます。これらの特色によって、メキシコは超肥満大国としても有名です。タイや日本で生活する以上に食生活には注意が必要となりそうです。

・その他

日本料理店や日本食材店は、タイと比較するとまだまだ希少ですが、それでも日系自動車関連企業様の進出が集中しているバヒオ地区の都市名+日本食 (例.アグアスカリエンテス + 日本食) などとインターネット検索すると、確実にヒットします。

メキシコは酒類も有名で、”テキーラ”がその代表格です。リュウゼツランという植物を主原料とした蒸留酒のメスカルのなかでも、ごく一部の地域などで製造したもののみがテキーラと呼ばれます(シャンパンがフランスのシャンパーニュ地方特産のスパークリングワインであるのと同様です)。ビールも有名で、コロナ、テカテ、ビクトリア、モデロなど、味が濃く辛い食べ物と合うようにあっさりとしたビールが特に有名で、塩やライム、チリパウダーなどを入れて飲むことも一般的です。

ブラジル料理店やアルゼンチン料理店なども点在しており、日本に於ける中華料理店や韓国料理店と同様に広く親しまれています。

次号では、これまでの記事でも何度か触れている、メキシコの米国との繋がりの強さに的を絞って書き進めていきます。

昭和電機株式会社 梶本 嵩顕

(2019年9月号掲載)

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