タイ節税講座

Chapter2 第6回 タイの社会保険事情

今回はタイの社会保険事情についてお話しします。皆さまはタイの社会保険制度についてどのくらいご存知でしょうか。日本では国民健康保険か社会保険への加入が義務づけられていて、サラリーマンの方は毎月の給料から天引きされていますね。

タイでも働いている方は外国人でも社会保険に加入する必要があります。日本人の方は社会保険とは別に会社で民間の医療保険に加入していたり、クレジットカードの医療保障を付けている方も多いかと思います。それはなぜでしょうか。その理由としては、タイの社会保険は条件が多く、使い勝手が悪いからだと言えます。

≪タイの社会保険の特徴≫

  • 保険料は毎月の給与の5%(最大750バーツ)。
  • 入院、通院、疾病、ケガなどでの治療や投薬などは無料。
  • 保険適用者は本人のみ。
  • 保険適用開始は3か月分の保険料を支払った後から。
  • 保険適用は社会保険制度に加入している病院のみ(加入時に選択)。

 

個人が負担する毎月の保険料は給与の5%(最大750バーツ)となり、会社と個人で750バーツずつ負担するのが一般的です。保険料は日本に比べるととても安いですが、実際に保険を使うとなるといくつか条件があります。

まず、治療を受けることができる病院を加入時に1つ選択し、その病院での治療しか適用されません。特に日本人の方は日本語対応可能なバンコク病院、サミティベート病院、バムルンラード病院などを利用することが多いと思いますが、これらの病院は社会保険制度に加入している病院ではないため選択することができません。もしタイ国内で急なケガや病気によって指定していない病院に運ばれた場合は、すぐに指定した病院に移らないと医療費は自己負担となってしまいます。

そのため上記の病院を利用したいが自己負担はできないという方や、万が一の際に備えて指定病院以外でも治療できるよう、民間の保険やクレジットカードの医療保障を利用する方が多くいらっしゃいます(もちろんタイ人でも社会保険だけでは足りないケースが多いため、民間の保険を何社も加入しているタイ人も多いです)。

またタイの雇用主は社会保険に加入することができません。そのためタイでビジネスをされている日本人経営者の方は、民間の保険を加入しているケースがほとんどです。日本では歯科治療も適用されますが、タイの場合、歯科治療費は年1回900バーツまでしか適用できません。このあたりも不便なことが多いですね(ホワイトニングや矯正などは適用できません。また、ローカル・日系のクリニックでも社会保険適用外のところもあるので事前に確認することが必要です)。

 

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皆様が心配な点はやはり、日本語対応可能な病院での医療保障だと思います。先ほども申し上げた通り、サミティベートやバンコク病院では社会保険を使うことができません。もし治療する場合はどのくらいの医療費がかかるのか、どのくらいの保障内容だと十分にカバーできるのか、気になりませんか。

次回は高級私立病院で実際に治療を受ける場合、入院する場合にどのくらいの医療費がかかるのか詳しくお話していく予定です。それではまた次回のコラムで。

 

【著者】 佐々木 扶美 タイ資産運用アドバイザー

MDRT4年連続会員(世界中の生命保険・金融サービス専門職のトップクラスのメンバー。MDRTメンバーはビジネスと地域社会のリーダーとして、生命保険と金融サービスの専門家として世界中で認知されている)

在タイ12年。利回りの高い保険を活用した法人税、個人所得税の節税コンサルティング、および土地を使った資産運用のアドバイスを行う。配偶者はタイ人、タイ永住組。

連絡先: 081-8242117
メール:info@siamrcs.com
www.aseanlandbanking.com

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