日系製造業の重鎮が提言 コロナ危機の今だからこそ、 自分で考え、自分の足元を見つめ直せ

新型コロナウイルスが、タイの日系製造業にも暗い影を落としている。生産活動の停滞や消費低迷で先行きが見通せず、幅広い業種で不透明感が漂う。この未曾有の状況下で、企業はどのような経営をしていくべきなのか。1992年創業の日系建築会社「UMEMURA CORP(THAILAND) LTD.」の梅村明弘会長に話をうかがった。

──今回の事態をどう捉えていますか。

28年前にタイで創業して以来、いくつもの危機に直面してきました。アジア通貨危機、リーマンショック、大洪水、反政府デモ……そして今回のコロナです。まず言っておきたいのは、皆さん、情報に流され過ぎです。危機の時こそ自分で考えることが大切なのに、多くの人がマスコミやネットの情報を真に受けて右往左往しているように見えます。

──どのような心構えが大切ですか。

千里先は見えないし、見てもしょうがない。今こそ足元を見つめ直す時です。これまで自分がやってきたことを振り返り、最初に戻って考えること。「利益は己の足元にあり」です。

──悩んだときは足元を見なさいと。

そのとおり。人生において、経営において大切なのは「準備」です。未来ばかりを見る人間が多いけれど、自分自身(自社)を正確に把握できなければ、いくら先を見ても正しい道のりを歩くことはできません。過去~現在~未来と繋がっているのです。コロナで今後どうなるかを考える前に、まずは過去を振り返り、自社の強みを把握し、自社の未来を考えていくことが必要なのです。自社を知らなければ正しい戦略を立てることはできません。

──御社はどのように活動していますか。

コロナの今だからこそ、積極的な採用と広告宣伝を行っています。他社が動かないこの時期は、良い人材を確保するチャンスなのです。事業面でも、新たに太陽光発電を開始しました。初期コスト、メンテ費用は当社が負担して、企業側の負担がなく太陽光が導入できます(本誌3頁目に詳細情報あり)。当社はこれまでも、周囲が不況だというときに積極的な活動をすることで成長してきました。自分たちの過去を振り返るとは、そういうことです。

──最後に、読者の皆様にアドバイスを。

「永らへば またこの頃や しのばれむ 憂しと見し世ぞ 今は恋しき」という藤原清輔朝臣の和歌があります。現代訳すると、「この先もっと長く生きていれば、辛いと思っている今この時もまた懐かしく思い出されてくるのだろうか。辛く苦しいと思っていた昔の日々も、今となっては恋しく思い出されるのだから」。  時が経てば、コロナも懐かしく思える日が必ず来ます。今は自分の足元をしっかり見つめ直して、この時期を乗り越えてください。

20年7月1日掲載

会社情報

会社名 UMEMURA CORP (THAILAND) LTD.
住所 2922/282 Chan Issara Tower Ⅱ, 24th Fl., New Petchburi Rd., Kwaeng Bangkapi, Khet Huay Khwang, Bangkok 10320 Thailand
お問い合わせ先 TEL: 0-2308-2060-2
E-mail: umemura@truemail.co.th
http://www.umemura.co.th
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