スマートテックの「KOOM Air」 エアコンのIoT化により省エネを実現

IoT(Internet of Things)とは、モノとモノがインターネットでつながり、 高い付加価値を作り出す仕組みのこと。 スマートテックが開発した「KOOM Air」は、エアコンのIoT化により 運転状況を可視化し、節電や省エネを実現する。

KOOM Airの始まりと進化

スマートテックは当初、「KOOM Air」を、スマートフォンを使ってエアコンを操作・制御することで居住者の利便性を高めるIoTデバイスにしたいと考えていた。ところがエアコンに設置してみると、居住者に快適空間を提供するだけでなく、プログラムの自動設定によりエアコン使用時のエネルギーを節約できることが分かった。

そこで同社はオフィスのエアコンを管理するためのアプリケーションの開発に着手。KOOM Airが他の空調管理システムよりも機能が優れていると確信するまで繰り返しエアコン運転の実証実験を行った。同社はその際、オフィスの稼働時間(8:00~17:00)を以下の4段階に分けてフレームワークを構築した。

ステージ1:始業前の時間帯(8:00より前)

多くの組織で無駄なエアコン使用が見られる。その理由は、オフィスに居る社員が少ないにも関わらず、オフィス内のエアコンをすべてオンにして、スタッフ全員が働いているときと同じ温度で使用しているからだ。この時間帯にエアコンをつける場合、通常通りの設定でつけるのではなく、まずは空気を循環させるために送風モードを10分間オンにする(この時点ではコンプレッサーが10分間休んでいる状態)。次に冷房モードに切り替えて、勤務時間中の使用温度よりも高い温度にする。26℃から徐々に24℃程度まで下がり、8時15分には通常業務で使用する温度に合わせて23℃に調整する。最初の送風モードではコンプレッサーが動作しないので節電になる。

ステージ2:勤務時間中(8:00~17:00)

この時間帯は通常通りの温度となる。部屋の温度が低いため、エアコンの動作は少ない。長期的には適正温度に慣れるため、元の温度が25℃より低い場合は、25℃まで毎月1℃ずつ徐々に温度を上げていく(ユーザーの快適性に影響を与えるため、急に温度調整することはない)。また仕事中、デマンドレスポンス※でピーク負荷を削減したい場合も、本アプリを使えばボタン一つで簡単に管理できる。本アプリは社内のエアコン100台のピークカットを瞬時に行える。

ステージ3:昼休み時間(12:00~13:00)

昼休みは、スタッフがオフィスにいないのにエアコンがつけっぱなしになっていたり、数人のスタッフが仕事をしていたりする。熱負荷が低いのでエアコンの温度を低く設定する必要はなく、昼休みの15分前に23℃から27℃まで温度を上げてコンプレッサーを切り、残熱利用するように調整する。そして正午は27℃の一定温度を維持し、午後は23℃まで下げて瞬時に冷やす。

ステージ4:勤務時間外(17:00以降)

多くの組織に共通する問題として、「エアコンをオフにする」ことがある。誰が責任を持って、いつエアコンを消すのか。本アプリはこの問題を完全に解決する。自動設定で消し忘れを防ぐことはもちろん、例えば17時以降に30分間温度を上げ、10分間送風モードにすることもできる。まだ働いている人がいる場合、エアコンはつけられても温度調整ができないようリモートロックを設定することも可能だ。

エアコン管理の万能アプリ

オフィスのエアコンは36,000btuや48,000btuといった大型のものが多い。これを1時間節約したり、コンプレッサーを1時間休ませたりすることで、1日に10バーツ近くの節約になる。もし300台のエアコンがあれば1日3,000バーツ、月間100,000バーツ近くの電気代削減が実現する。たった10バーツ/個のエアコン節約がもたらす効果は決して小さくない。

スマートテックはアプリケーションとハードウェアの両方を開発しており、KOOM Airは自社製の大型Wi-Fiウィングを備えている。エアコンの設置場所は他のコンピュータと同じく自由ではないため、Wi-Fiの受信状態が良好でなければならない。その点、KOOM Airは組織全体にWi-Fiが普及しているという想定で作られているため、一般的なユニバーサル赤外線よりも受信感度が優れている。たとえ電波が切れたり、クラッシュしたりしても、設定はそのまま機能するように設計されている。

また、管理チームを設定することでアプリケーションを管理できる(グループごとに管理者を設定する)。例えば、3つの建物がある場合、3人の管理者を建物ごとに分けてグループ化できる。他にも、エアコンの使用履歴を閲覧できる機能もあり、各エアコンがいつ起動したのかが分かる。どの温度で使用しているのか、いつ電源を切るのか、あるいは管理者が帰宅した場合でも、アプリケーションを開いてオフィス内に起動しているエアコンがあるかどうかを確認し、遠隔操作で即オフにできる。

同社のプムナロン・シリウィラクン氏は次のように語った。 「各所からKOOM Airに興味をもっていただき、これまでに米国大使館やトヨタ・モーター・タイランド(Head Office)等への納入実績があります。現在のコロナ禍の状況下では、エアコンのON・OFFを自動設定にしたり、接触を避けたりすることで、感染リスクを減らせると考えています。エアコンの使用は習慣なので行動変容にもつながり、長期的かつ安定的な節電も実現します。

KOOM Airは食堂の空調管理にも役立ちます。また学校では授業スケジュールに合わせてエアコンのON・OFFを制御でき、必要に応じて部屋を冷やせます。適切な空調管理はエアコンの効率性を高め、省エネにもつながるのです。

サーバールームのエアコン管理にも適しており、ON・OFFと温度を時間のズレなく正確に設定できます。また、テンプセンサーがサーバールームの温度が規定以上になったことを検知すると、管理者の携帯電話に警報を発し、設置場所にサイレン信号を送ります。そしてエアコンを起動して自動的に冷却を行い、サーバールームの温度を通常に戻します。これにより、管理者がすぐにサーバールームに入らなくても、基本的な問題を解決できます」

Smart Tech (Thailand) Co.,Ltd. 403 Bondstreet Road, Bang Phut, Pak Kret, Nonthaburi 11120
Tel: 02-026-3525
Contact: K’Phumnahrong Sirivirathkool
Mobile: 081-130-1310 (TH/EN)
E-mail: Phumnahrong@gmail.com
Website: https://smarttechiot.co.th/

2021年9月1日掲載

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